不登校の娘をもつ母のひとりごと
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Emika
性別:
女性
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明け方から、ガタガタと音が聞こえて起きてしまった。
まだ5時前?
ユウが家から出て行ったらしい。
1時間くらいして、帰ってきた。
あとから聞いたら「散歩」だと・・・。
寝られないと言う。
明け方に起きてしまうのだと。
寝るための薬も医者からもらっているが、あまり効果がないらしい。
朝ご飯のあとくらいに、ノートを持ってくる。
今、書いている小説なのだと。
「おもしろい?」
と聞くので
「おもしろいよ」
と答えると嬉しそうな顔をする。
また、しばらくして、ノートを持ってきた。
続きを書いたという。
私が内容に対してちょっとアドバイスをすると、その部分のノートを破いてしまった。
「おもしろくないんでしょ?」
と言って。
必要以上に評価を気にする。
評価が悪いと思うと、自分を許せない。
この完璧主義が心を病ませているのかな?とも思う。
昼間は元気。
絵を描くための紙を買ってほしいというので、一緒にデパートへ。
半袖でも大丈夫かもという気温なのに、黒のコートを着込んでいる。
「ぬいだら?」
と言っても
「いい」
と言ってかたくなに脱がない。
思えば、隠れたいの?って思うほど、真っ黒い服ばかり着ている。
夕方、心配してくれている祖父が「一緒に焼き肉を食べにいこう」と誘ってくれたので祖父宅を訪問。
途中、ユウは車で爆睡。
祖父宅、着後も・・・起きない。
一応、家にはあがったものの、また爆睡。
結局・・・ユウは食事に同行しなかった。
ユウのための食事会なのに・・・だ。
よけい心配をかけてしまったかな?と思う。
妹はとても「普通」の小学生。
おじいちゃんやパパにビールをついであげたりもする。
この気配りは、いつから身に付くものなのだろう?
思えばユウは、小さい頃からまったくそういう気づかいができなかった。
「自分勝手」とか「わがまま」とか、こういう修飾語は「子供らしい」とイコールになるわけではないらしいと気付いたのも最近のこと。
ようは資質の問題も多くあるらしい。
家庭や、学校や、いろいろなところで、いろいろな人と接触する。
そんななか、自分と他人との距離をはかることができるようになることが、大人になる第一歩なのではないかと思う。
ユウはIQだけを検査すると、ものすごく高い。
でも、交友関係というカテゴリーの中では、まったく大人にはなれていない。
この不均衡さが今の彼女の心の風邪をひどくしているように思えてならない。
ユウはデパートで疲れたんだろう。
爆睡していても、許される環境は、今、必要。
本人が外に出て行こうとしているなら、手伝ってあげたい。
ひきこもってしまうより、いいと思うから。
ユウがもってきた小説のテーマは
「死んじゃいけない、だれかがあなたを必要としているから」
だった。
まだ5時前?
ユウが家から出て行ったらしい。
1時間くらいして、帰ってきた。
あとから聞いたら「散歩」だと・・・。
寝られないと言う。
明け方に起きてしまうのだと。
寝るための薬も医者からもらっているが、あまり効果がないらしい。
朝ご飯のあとくらいに、ノートを持ってくる。
今、書いている小説なのだと。
「おもしろい?」
と聞くので
「おもしろいよ」
と答えると嬉しそうな顔をする。
また、しばらくして、ノートを持ってきた。
続きを書いたという。
私が内容に対してちょっとアドバイスをすると、その部分のノートを破いてしまった。
「おもしろくないんでしょ?」
と言って。
必要以上に評価を気にする。
評価が悪いと思うと、自分を許せない。
この完璧主義が心を病ませているのかな?とも思う。
昼間は元気。
絵を描くための紙を買ってほしいというので、一緒にデパートへ。
半袖でも大丈夫かもという気温なのに、黒のコートを着込んでいる。
「ぬいだら?」
と言っても
「いい」
と言ってかたくなに脱がない。
思えば、隠れたいの?って思うほど、真っ黒い服ばかり着ている。
夕方、心配してくれている祖父が「一緒に焼き肉を食べにいこう」と誘ってくれたので祖父宅を訪問。
途中、ユウは車で爆睡。
祖父宅、着後も・・・起きない。
一応、家にはあがったものの、また爆睡。
結局・・・ユウは食事に同行しなかった。
ユウのための食事会なのに・・・だ。
よけい心配をかけてしまったかな?と思う。
妹はとても「普通」の小学生。
おじいちゃんやパパにビールをついであげたりもする。
この気配りは、いつから身に付くものなのだろう?
思えばユウは、小さい頃からまったくそういう気づかいができなかった。
「自分勝手」とか「わがまま」とか、こういう修飾語は「子供らしい」とイコールになるわけではないらしいと気付いたのも最近のこと。
ようは資質の問題も多くあるらしい。
家庭や、学校や、いろいろなところで、いろいろな人と接触する。
そんななか、自分と他人との距離をはかることができるようになることが、大人になる第一歩なのではないかと思う。
ユウはIQだけを検査すると、ものすごく高い。
でも、交友関係というカテゴリーの中では、まったく大人にはなれていない。
この不均衡さが今の彼女の心の風邪をひどくしているように思えてならない。
ユウはデパートで疲れたんだろう。
爆睡していても、許される環境は、今、必要。
本人が外に出て行こうとしているなら、手伝ってあげたい。
ひきこもってしまうより、いいと思うから。
ユウがもってきた小説のテーマは
「死んじゃいけない、だれかがあなたを必要としているから」
だった。
PR
普通。
これ以外の言葉がないくらい。
普通。
ユウは外泊扱いで自宅に戻ってきた。
うちのダンナさんは大阪に単身赴任中。こちらもゴールデンウィークのため戻ってきた。
うちには次女もいる。こちらは小学校6年生。
ほんとうに久しぶりに4人で食卓を囲む。
鍋。
食後に4人でテレビを見る。
イチゴを食べる。
次女だけ「いらない」とか言う。
話す。
笑う。
こんな普通が・・・いままでなかった。
こんな普通を・・・幸せだと思う。
でも、ユウは病院に帰らなければいけない。
普通が普通になる日は、まだ遠い。
これ以外の言葉がないくらい。
普通。
ユウは外泊扱いで自宅に戻ってきた。
うちのダンナさんは大阪に単身赴任中。こちらもゴールデンウィークのため戻ってきた。
うちには次女もいる。こちらは小学校6年生。
ほんとうに久しぶりに4人で食卓を囲む。
鍋。
食後に4人でテレビを見る。
イチゴを食べる。
次女だけ「いらない」とか言う。
話す。
笑う。
こんな普通が・・・いままでなかった。
こんな普通を・・・幸せだと思う。
でも、ユウは病院に帰らなければいけない。
普通が普通になる日は、まだ遠い。
娘のいない間に、いろいろ思い出してみようとブログを書きはじめ、やっと出産編が終わった。
なにもなければ赤ちゃん編でもつづってみようかなと思っていたけれど・・・ちょっとブレイク。
なぜなら、今日、娘に面会したから・・・。
当初から荷物を届けにいく予定ではあった。
5月2日まではあえないと聞いていたので、看護士さんに荷物を渡して帰るつもりだった。
ところが・・・
担当医から面談室によびだしがあり、待たされることしばし。
ガチャ。
「あ~おかあさん、こんにちは。
実はユウちゃん、家に帰りたいっていってまして・・・」
「はい」
「明日から何日か外泊という形をとりたいのですが、いいですか?」
「えっええ、もちろん!」
ここで私が嬉々とした顔をしたので、先生はなんとも複雑な顔をして続けた。
「ちょっと、良くないんですよね、彼女」
「は?」
「入院初日にとんでもなくはしゃいでいて、キャーキャーいうくらいだったんですが・・・」
「はい」
「翌日、ガックリきたらしく、ベッドからでてこないくらいになってしまって・・・」
「え?そうなんですか?」
「その落差がひどいので、心配なんです。本人が帰りたいというので帰らせますが、ここはまだ様子を見たいので、外泊という形にしてください」
「はっ、はい」
「当人とお会いになりますか? 今、呼びます」
「お願いします」
・・・・ガチャ・・・
娘が部屋に入ってきた。
おぼつかない足取りで。
目は半分しか開いていない。
ちょっと・・・おどろいた。
自分の娘じゃないみたい。
「着替え、もってきたの、あと洗面器とか・・・必要でしょ?」
わたしが娘にボストンを渡そうとすると、先生がそれを阻止した。
「今、持てないよね。あとで看護士さんにもっていってもらうから、そこに置いておいていいわよ」
え?持てない???ボストンが????
部屋に戻る娘の後ろ姿に、言葉をかける先生。
「足元気をつけてね、ころばないように」
え?ころばないように???
なんなの?この状況は?
無気力を絵に描いたような娘を・・・
明日の朝10時に迎えにいく・・・
なにもなければ赤ちゃん編でもつづってみようかなと思っていたけれど・・・ちょっとブレイク。
なぜなら、今日、娘に面会したから・・・。
当初から荷物を届けにいく予定ではあった。
5月2日まではあえないと聞いていたので、看護士さんに荷物を渡して帰るつもりだった。
ところが・・・
担当医から面談室によびだしがあり、待たされることしばし。
ガチャ。
「あ~おかあさん、こんにちは。
実はユウちゃん、家に帰りたいっていってまして・・・」
「はい」
「明日から何日か外泊という形をとりたいのですが、いいですか?」
「えっええ、もちろん!」
ここで私が嬉々とした顔をしたので、先生はなんとも複雑な顔をして続けた。
「ちょっと、良くないんですよね、彼女」
「は?」
「入院初日にとんでもなくはしゃいでいて、キャーキャーいうくらいだったんですが・・・」
「はい」
「翌日、ガックリきたらしく、ベッドからでてこないくらいになってしまって・・・」
「え?そうなんですか?」
「その落差がひどいので、心配なんです。本人が帰りたいというので帰らせますが、ここはまだ様子を見たいので、外泊という形にしてください」
「はっ、はい」
「当人とお会いになりますか? 今、呼びます」
「お願いします」
・・・・ガチャ・・・
娘が部屋に入ってきた。
おぼつかない足取りで。
目は半分しか開いていない。
ちょっと・・・おどろいた。
自分の娘じゃないみたい。
「着替え、もってきたの、あと洗面器とか・・・必要でしょ?」
わたしが娘にボストンを渡そうとすると、先生がそれを阻止した。
「今、持てないよね。あとで看護士さんにもっていってもらうから、そこに置いておいていいわよ」
え?持てない???ボストンが????
部屋に戻る娘の後ろ姿に、言葉をかける先生。
「足元気をつけてね、ころばないように」
え?ころばないように???
なんなの?この状況は?
無気力を絵に描いたような娘を・・・
明日の朝10時に迎えにいく・・・
陣痛で苦しいなか、すっかり夜も明け、太陽の光がさしこんできた。
「う~ん、まだ全開じゃないわね・・・」
子宮口が全開にならないと分娩台にはのぼれない。
ちらっと時計をみて、主治医は言った。
「あたし、当直終わりだから、いったん帰るわ。今日は午後から勤務だから・・・その頃には産まれてるね、きっと。じゃ・・・」
そして主治医はいなくなった。
しばらくして別の先生がきた。
「え?○×先生の担当?ふ~ん」
明らかにイヤそうな口調だった。
「う~ん、8センチか~まだ無理かな~。でも私も10時から外来だし・・・産ませてみる?」
そんなひと言で、わたしは分娩台にのせられた。
「はい、いきんで!」
初の出産で、どうしていいかわからない。とりあえず、全身の力をいれてみる。
何度か挑戦する。とにかく痛い。
「う~ん、ダメだね。外来出るわ。他のセンセ、くるからまって」
その先生もいなくなった。
10時・・・
分娩台の上で痛い時間だけがすぎていく。
かたわらにひとりだけ、助産婦見習いの女の子がいた。
私の手をにぎって「がんばってくださいね」とだけ、なんども、なんども。
11時・・・12時・・・
いれかわりたちかわり、先生がやってきて何度かいきませて、ダメだねといっていなくなる。
正直、疲れた。このままずーっと痛いんじゃないかと思う。つらい。
ナースたちも、私の耳元で「お昼なににする?」と話し合って、ひとりふたりといなくなった。
13時・・・
なんと!主治医がもどってきた。
開口一番
「なに?まだ産まれてなかったの?」
・・・痛くなかったら、疲れてなかったら、ぶん殴ってるところだ。
「じゃ、産もうか」
そのひとこととともに、まわりに今までいなかった人がたくさんあつまってきて、私の上の大きなライトが点灯した。
「いきんで!」
痛みはピークなのだが、疲れすぎて力が入らない。
「ダメじゃん!!あなた、お腹おして!」
そういわれたナースのひとりが、わたしに後ろ向きにまたがって、力一杯お腹を押した。
なにかが、でた・・・気がした。
「産まれました!女の子です」
「へその緒、まいてるから!!処置して!」
産声は・・・しばらくしてから・・・かぼそく・・・。
13時35分。出産。
主治医が来てからは、30分たらずだった。
赤ちゃんは早々にどこかに連れていかれてしまった。
分娩台の上で放心状態のわたしにむかって、ベテランの助産婦さんが言った。
「赤ちゃん、2540グラムだったんだろ・・・でもあんた、4000グラムの子を産んだみたいになってるよ・・・」
あまりにいきみすぎて、下半身はパンパンにはれてしまい、立つこともできなかった。
車イスにのせられて、病室にもどり・・・鏡をみて驚いた。
上半身の毛細血管が切れて、顔から首から・・・気持ち悪いくらいにミミズ状に真っ赤だった。
「う~ん、まだ全開じゃないわね・・・」
子宮口が全開にならないと分娩台にはのぼれない。
ちらっと時計をみて、主治医は言った。
「あたし、当直終わりだから、いったん帰るわ。今日は午後から勤務だから・・・その頃には産まれてるね、きっと。じゃ・・・」
そして主治医はいなくなった。
しばらくして別の先生がきた。
「え?○×先生の担当?ふ~ん」
明らかにイヤそうな口調だった。
「う~ん、8センチか~まだ無理かな~。でも私も10時から外来だし・・・産ませてみる?」
そんなひと言で、わたしは分娩台にのせられた。
「はい、いきんで!」
初の出産で、どうしていいかわからない。とりあえず、全身の力をいれてみる。
何度か挑戦する。とにかく痛い。
「う~ん、ダメだね。外来出るわ。他のセンセ、くるからまって」
その先生もいなくなった。
10時・・・
分娩台の上で痛い時間だけがすぎていく。
かたわらにひとりだけ、助産婦見習いの女の子がいた。
私の手をにぎって「がんばってくださいね」とだけ、なんども、なんども。
11時・・・12時・・・
いれかわりたちかわり、先生がやってきて何度かいきませて、ダメだねといっていなくなる。
正直、疲れた。このままずーっと痛いんじゃないかと思う。つらい。
ナースたちも、私の耳元で「お昼なににする?」と話し合って、ひとりふたりといなくなった。
13時・・・
なんと!主治医がもどってきた。
開口一番
「なに?まだ産まれてなかったの?」
・・・痛くなかったら、疲れてなかったら、ぶん殴ってるところだ。
「じゃ、産もうか」
そのひとこととともに、まわりに今までいなかった人がたくさんあつまってきて、私の上の大きなライトが点灯した。
「いきんで!」
痛みはピークなのだが、疲れすぎて力が入らない。
「ダメじゃん!!あなた、お腹おして!」
そういわれたナースのひとりが、わたしに後ろ向きにまたがって、力一杯お腹を押した。
なにかが、でた・・・気がした。
「産まれました!女の子です」
「へその緒、まいてるから!!処置して!」
産声は・・・しばらくしてから・・・かぼそく・・・。
13時35分。出産。
主治医が来てからは、30分たらずだった。
赤ちゃんは早々にどこかに連れていかれてしまった。
分娩台の上で放心状態のわたしにむかって、ベテランの助産婦さんが言った。
「赤ちゃん、2540グラムだったんだろ・・・でもあんた、4000グラムの子を産んだみたいになってるよ・・・」
あまりにいきみすぎて、下半身はパンパンにはれてしまい、立つこともできなかった。
車イスにのせられて、病室にもどり・・・鏡をみて驚いた。
上半身の毛細血管が切れて、顔から首から・・・気持ち悪いくらいにミミズ状に真っ赤だった。
久しぶりに母子手帳をみて、メンタルクリニックの先生とも話をして、いろいろなことを思い出してみる。
思えば出産からさんざんだった・・・。
1992年12月、東京都内の大学付属病院でユウは産まれた。
臨月になって、心音の検査をうけたところ、
「赤ちゃんの心拍数が異常です、心臓に穴が開いているかもしれませんので入院してください」
と言われ、予定日の一週間前に入院した。
胎児が小さいという理由で、毎日毎日点滴をうたれ、みるみるうちにお腹が大きくなっていった。
予定日を2日ほど過ぎたころ、陣痛らしきものがきた。それが夜の10時くらい・・・。
明け方まで待って、痛みが増してきたので、陣痛室へ。
その日の当直医はたまたま主治医だった。
この主治医がちょっと難あり。
この病院のスタッフの中で、なんだか私の主治医は嫌われているようす。
それもそのはず、ナースに対してもひどいモノのいいようだった。
「○○さん(私のこと)、陣痛促進剤うって。○秒に1滴の割合で」
「はい」
ナースは主治医に言われた通りの設定で私に点滴をうちはじめた。
しばらくして主治医が私の元に来て
「あら?点滴早くない? ×秒に1滴って言ったわよね」
と言った。ナースは驚いて答えた。
「え?先生は○秒に1滴と・・・」
「なに言ってんのっ、 ×秒に1滴よっ。言ったじゃない!!」
「はい・・・すみません」
そしてブリブリ怒りながら部屋を出て行く主治医。
ナースは申し訳なさそうに私に言った。
「ごめんね~怖い思いさせて・・・最近、陣痛促進剤で事故とか聞くから驚いたでしょ?」
「ううん、××さん(ナース)は悪くないよ。だって、わたしも先生が○秒に1滴って言ったの聞いたもん」
「でしょ?私、間違ってないよね?」
とんでもなく痛い腰をさすってもらいながら、私たちはこんな会話を交わした。
そのかたわらに、女性雑誌。
表紙の見出しに
『陣痛促進剤で子宮破裂!!!』
の文字が踊っていた。
思えば出産からさんざんだった・・・。
1992年12月、東京都内の大学付属病院でユウは産まれた。
臨月になって、心音の検査をうけたところ、
「赤ちゃんの心拍数が異常です、心臓に穴が開いているかもしれませんので入院してください」
と言われ、予定日の一週間前に入院した。
胎児が小さいという理由で、毎日毎日点滴をうたれ、みるみるうちにお腹が大きくなっていった。
予定日を2日ほど過ぎたころ、陣痛らしきものがきた。それが夜の10時くらい・・・。
明け方まで待って、痛みが増してきたので、陣痛室へ。
その日の当直医はたまたま主治医だった。
この主治医がちょっと難あり。
この病院のスタッフの中で、なんだか私の主治医は嫌われているようす。
それもそのはず、ナースに対してもひどいモノのいいようだった。
「○○さん(私のこと)、陣痛促進剤うって。○秒に1滴の割合で」
「はい」
ナースは主治医に言われた通りの設定で私に点滴をうちはじめた。
しばらくして主治医が私の元に来て
「あら?点滴早くない? ×秒に1滴って言ったわよね」
と言った。ナースは驚いて答えた。
「え?先生は○秒に1滴と・・・」
「なに言ってんのっ、 ×秒に1滴よっ。言ったじゃない!!」
「はい・・・すみません」
そしてブリブリ怒りながら部屋を出て行く主治医。
ナースは申し訳なさそうに私に言った。
「ごめんね~怖い思いさせて・・・最近、陣痛促進剤で事故とか聞くから驚いたでしょ?」
「ううん、××さん(ナース)は悪くないよ。だって、わたしも先生が○秒に1滴って言ったの聞いたもん」
「でしょ?私、間違ってないよね?」
とんでもなく痛い腰をさすってもらいながら、私たちはこんな会話を交わした。
そのかたわらに、女性雑誌。
表紙の見出しに
『陣痛促進剤で子宮破裂!!!』
の文字が踊っていた。
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